公共資本主義 その2

「公共資本主義 その1」の記事に挙げられているハーバード大のセラフェイム教授の日本経済新聞へ寄稿の経済教室の記事を見つけました。

言葉の使い方としてステークホルダーにずれがありますが、この記事ではステークホルダーが株主(stockholder)に対立する勢力とし、原氏の記事でいう社中としています。また、アメリカが株主資本主義から公共資本主義に変更しバランスを保つ重要性を説いています。興味を引くのは環境、社会、企業統治(ESG)を自社ひいては自社の属する産業にとって戦略に重要と位置づけ、取り組みを改善した企業が株価が上昇し将来の収益性も向上していると調査です。今後ESGは重要でガバナンス(企業統治)、イノベーション(技術革新)、成長ペース、投資判断にも大いに必要となるといいます。

また、経済成長のインセンティブ(誘因)となる企業・投資家の投資行動にかかわることで共感することがあります。先日のBS NHKの「欲望の資本主義2021」にも触れられていたことですが、現在では企業価値の多くが有形資産より無形資産に由来することなっている。こうした中で人的資本、自然資本、社会関係資本に関わるESG関連情報を今後、投資家が重要視していくだろうということです。
リチャード・クーの「追われる国の経済学」にもあったが、1980年代初めからロナルド・レーガンが徹底的な減税や規制緩和を行った。所謂、サプライサイドのマクロ経済政策「レーガノミクス」である。サプライサイドでは減税分を株主に配当として上乗せはせず、この上乗せ分は米各国内における人的資本などの資源配分を効率的にして資本収益率を高めるのに大いに貢献したと思われる。多くの資金や優れた人材を将来性のあるハイテク分野に投入できたことで、アメリカ経済は新たな成長エンジンを獲得でき、日本との競争を有利に進めた。このようにマクロ政策を成功させるには会社側でのミクロ経済戦略が必要であることは言うまでもない。
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