又 葉室麟を読む

遺った言葉

「亡くなられた父上は止まぬ雨はない、と仰せられたが、止んだ雨はまた降り出しもしようし、そうでなければ作物は育たぬであろう。この世に生れて霖雨が降り続くような苦難にあうのは、人として育まれるための雨に恵まれたと思わねばなるまい」と淡窓。

「兄様は、ひとを潤す慈雨となる生き方をしなければならぬ、と言われました。私が慈雨になれる生き方は、府内藩の仕法を行うことかもしれません」と久兵衛

(霖雨 より)

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